ターム3とターム4の間のホリデーに、学生さんたちとオークランド郊外にあるHunua Range滝と森を散策しました。Hunua Rangeは、オークランドの南東に広がる広大な自然保護区です。市内中心部から車でおよそ1時間ほどの距離にあり、雄大な滝(Hunua Falls)、原生林、そして静かなダム湖が点在しています。オークランド地域の水源としても重要で、同時にハイキングや自然観察の人気スポットとして親しまれています。
静かな森の中には、ニュージーランド特有の植物や鳥たちが息づいており、その一つひとつに深い歴史と物語があります。今回は滝の周辺を歩いた際に見ることができた、ニュージーランド固有の植物や鳥をいくつかご紹介します。
まずは、靴の裏をきれいに。
Hunua Rangeをはじめ、ニュージーランドの多くの自然公園では、トレイルに入る前に靴底を消毒する「クリーニングステーション」が設置されています。これは、森を守るためのとても大切な習慣です。
靴底についた土の中には、植物の病気を引き起こす菌(たとえばKauri Diebackなど)が含まれていることがあります。そのため、森に入る前後でブラシで泥を落とし、専用のスプレーで消毒することで、病害の拡散を防いでいるのです。
Ponga(ポンガ)
マオリ語でPonga(ポンガ)。英語ではSilver Fernと言います。葉の裏が銀色に輝く、ニュージーランドの象徴的なシダ植物。光を反射するその姿は、マオリの人々にとって夜道を照らす道しるべでもありました。いまでは、ニュージーランドのシンボルとしても広く知られています。有名なところでは、オールブラックスのシンボルマークになっていますし、女子ネットボール代表のチーム名はまさにSilver Fernです。
日本では、「裏白」で知られるシダ。
Harakeke(ハラケケ)
マオリ語では Harakeke(ハラケケ)、英語ではFlax(フラックス)。
長くて丈夫な葉が放射状に広がる姿が印象的で、風に揺れる音がとても心地よく感じられます。
フラックスはニュージーランドの先住民マオリの人々にとって、生活に欠かせない植物でした。葉は細く裂いて乾かし、織物、ロープ、かご、衣類、赤ちゃんを包む布など、さまざまなものに使われてきました。
Kawakawa(カワカワ)
ハート形の葉がかわいらしい植物。マオリの伝統医療で古くから痛みに効く薬草として使われており、少し噛むとミントのような爽やかな香りが広がります。このKawakawaを応用したハーブティーや、ハンドクリームもいいですよ~。
Manuka Tree(マヌカツリー)
白い小さな花を咲かせる低木で、世界的に有名な「マヌカハニー」のもととなる植物です。
ニュージーランド全土の低地〜丘陵地帯で広く見られます。見た目は控えめですが、花には独特の香りがあり、たくさんのミツバチたちが集まってきます。
マヌカの花の季節は 春から初夏(10月〜1月ごろ)ということで、ちょうど花を咲かせ始めた木に出会えました。
どんどん歩こう!
ニュージーランドでは、自然の中を歩くことを「トレッキング(Trekking)」と呼びます。トレッキング用の道(track)はとてもよく整備されており、初心者でも安心して森の中を歩くことができます。木道や階段、案内板などが整っていて、自然を守りながら安全に楽しめるよう工夫されています。
Piwakawaka (ピワカワカワ)
ピワカワカは、英語では New Zealand Fantailと言いますが、まさにFan(扇)のように広げた尾羽を小刻みに動かしながら、空中をひらひらと飛び回る姿が特徴です。その愛らしい動きから、地元の人たちにとても親しまれている鳥です。人を怖がらず、森を歩いているとすぐ近くまで寄ってきてくれることもあります。
実はこの鳥は、とても賢くて社交的。森の中で人が歩くと、その足元から虫が飛び立つため、ピワカワカはそれを追いかけて食べようと近づいてくるのです。つまり、彼らにとって私たち人間は「歩く虫取り機」。学生たちも「すごくかわいい!」と大喜びでした。
Tui(トゥイ)
Tuiは、ニュージーランド固有の鳥で、美しい声でさまざまな音を奏でます。エコーのかかった透き通った高音の鳴き声、まるで笛のような音、時には金属音のような不思議な響きまで――まるで森全体が音楽を奏でているかのように感じます。
特徴的なのは、のど元にある小さな白い羽のふさ(ぼんぼり)のような模様。黒い羽の間でその白い丸がよく目立ち、とても上品な印象を与えます。陽の光にあたると羽が青や緑に光り、角度によって色が変わるのも魅力です。
Tuiはフラックス(Harakeke)の花の蜜を好んで食べるため、森の中でこの植物が咲く時期には特によく見かけます。花の間を飛び回りながら、美しい声で鳴く姿に、学生たちも「まるで歌っているみたい!」と感動していました。
Kererū(ケレル)
英語名では、New Zealand Pigeon(ニュージーランド・ピジョン)という名がつくので、この鳥は鳩の一種です。
ケレルは体が丸く、胸のあたりは真っ白、頭や背中の羽は深い緑や青に光り、まるで宝石のような輝きを放ちます。ニュージーランドの森の中ではひときわ存在感のある鳥です。
実はケレルは、森にとってとても大切な存在です。果物を丸ごと食べて、その種を遠くまで運ぶことで、森の再生を助けています。ニュージーランドでは“森のガーデナー(The Gardener of the Forest)”とも呼ばれており、自然の循環の中で欠かせない役割を果たしています。
Kauri Tree (カウリツリー)
カウリはニュージーランド北島にしか自生しない固有種で、数千年も生きることがある長寿の木です。かつては北島の広い地域を覆っていましたが、開拓や伐採でその数が大きく減ってしまいました。現在は、国を挙げて保護が行われています。
特に近年は、Kauri Dieback(カウリ・ダイバック) という菌による病気が問題となっており、木の根に触れた土から感染が広がることがあります。そのため、森に入る前には靴底をしっかり消毒することが大切です。
この写真のKauriは樹齢が約900年と言われています。
Hunua rangeのものではありませんが、参考までに。
Pukeko(プケコ)
プケコは、ニュージーランドの湿地や草原によく見られる鳥で、鮮やかな青い体と、赤いくちばし・長い脚がとても印象的です。英語では Swamp Hen(スワンプ・ヘン/湿地の鳥) とも呼ばれます。
その親しみやすい姿から、プケコはニュージーランドのおみやげや雑貨のデザインにもよく登場します。青と赤のコントラストが美しく、マグカップやTシャツ、ポーチなど、街のギフトショップでも人気のモチーフです。
マオリの文化では、プケコは「勇気と好奇心の象徴」とされてるそうですよ!
Hunua Fall
最後にみんなで滝の前で記念撮影。この滝の高さは約30メートル。この日は雨が降っていたので少し濁っていました。
大都会のオークランドでも、ほんの少し足を延ばせば、自然に触れられる場所がたくさんあります。
植物や鳥類は、ニュージーランド固有のものが多いので、是非興味を持って調べてみると楽しいですよ。
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