ニュージーランドの学校で高まる生成AIの影響と今後の方向性

翻訳担当のEikoです。ターム3が始まり、留学生の皆さんは試験の準備やクラブ活動などで忙しい日々を送っておられることと思います。

学校の試験方法が生成AIの影響で変更に

先日、ARCのお客様である留学生としゃべる機会があった時に、ほーっと思ったことがありました。NCEA(全国統一の高校教育認定資格)のうち、インターナルという校内で評価を受ける試験について、家で取り組んで提出する方式に替わって、学校のコンピューターにログインして、決められた時間内に作業しなければならなくなった科目があるそうです。これは、昨年、大部分が生成AIによって作成されたと見なされた提出物が多かったためとのことです。

お話した彼女はとてもまじめで、じっくり時間を掛けて家で課題に取り組みたいのにと、この変化をとても残念がっていました。しかも、参照した資料をコピーして提出しなくてはならなくて、コピーするのが大変とのことでした。これはチェックする先生も大変な作業だと思います。そして彼女自身は生成AIの使用に懐疑的で、自分はほとんど使っていない、とのことでした。

私はこの話を聞いて、生成AIの影響で大変な思いをしていると同情し、英語学校の先生である友人に話しました。ところが彼女の反応はきっぱり、ばっさり。「試験方法の変更は当然。不公平や不正があってはならない」とのことでした。英語学校でも、課題の仕上がりが授業での受け答えと明らかに違っていて、生成AIを使ったに違いない、という提出物が多いそうです。せっかくの自分の向上のための勉強なのに、AIにやらせてどうするの、と私は思いますが。というこの先生も、教材や試験問題を作るのに、Chat GPTを活用しているそうです。

日本の学生、AI使用にためらい

日本はどうなのかと検索してみたら、日経新聞の「生成AI『自分で使う』、日本の高校生は低調 学校の紙重視が影響?」という記事を見つけました。

この記事によると、日米中韓の国際調査の結果、日本の高校生は生成AIを自分で使う経験がほかの国より少ないことが判明しました。「学校の宿題に生成AIを利用する」は20%で最下位、一方でトップの韓国は6割近くとなっています。記事の中では、「学校がデジタル教育を推進しつつ、筆記や紙媒体での学びを重視していることも背景にあるのではないか」という専門家のコメントを紹介しています。

韓国、AI教科書を導入

韓国って進んでいるなあ、と検索してみると、日経クロステックの「韓国が2025年にAI教科書を導入、大手企業はEdtechビジネスの拡大とインド進出」という興味深い記事が見つかりました。この記事によると、韓国では2025年から、AI教科書を導入しているそうです。AI教科書は、AIチューターが生徒のレベルを分析して繰り返し学習できるようサポートするというもので、教科書のPDFデータに動画や音声、クイズなどを追加した従来のデジタル教科書とは異なります。AIが教師と生徒の間に入り、教師を補助する役割を担うとされ、2028年にかけて段階的に拡大させていくとのこと。

すごい! さらにこの記事では、教育を支援するテクノロジー「Edtech」(エドテック)ビジネスへの韓国企業の取り組みについても紹介されていました。今回の投稿のお陰で、Edtechという新しい分野を知ることができました。やっぱり紙でないと、と言っている時代ではないなあ、としみじみ実感します。

AIを活用しつつ、自分で考える力を持つ

私は、今年3月にパソコンをAI搭載PCに買い替えたのをきっかけに、CopilotというマイクロソフトのAIを愛用しています。例えば、学校の成績表を翻訳するのに、校内で独自に使われていると思われる用語が出てきたら、Copilotに「XXスクールでYYYという言葉を使った資料がないか調べて」と指示すると、瞬間で「ZZ年WW月のニュースレターでAAAという意味で使用されています」とその内容を教えてくれます。これまでの学校サイトに入って、用語の検索ができるかを調べて、できる設定があったら語句を入力して、なければ担当者に質問して、といった手間がすっかりなくなりました。

今回の投稿ももちろんCopilotを使用。ニュージーランドと日本の学校でのAI使用について、まとめてもらいました(ニュージーランドについて調べる場合は英語でやりとりしています)

ただ、私はAIを使った文章やイラストがどうも苦手。AIを道具として活用しながらも、この感覚を忘れないようにして、人間らしさ、自分らしさを大切にしていきたいと思っています。自分で考える力、疑問に思う習慣を意識して持っていたいです。

今、社会に出始めた20代は、生まれた時からインターネットが存在していて、デジタルネイティブと言われています(50代の私はデジタルイミグラントらしい。。。)。さらにこれからの子供たちはAIネイティブとなるわけで、思考や交流の仕組み、時間や空間の概念がまったく変わっていくことでしょう。楽しみでもあり、なんとか取り残されないようにしていかなければ、と思ったりしています。

参考資料

McNulty, N. (2024, February 15). Comparative Analysis of Generative AI Policies in Education. https://file:///C:/Users/kurou/OneDrive/Desktop/Comparative-Analysis-of-Generative-AI-Policies-in-Education.pdf

生成AI「自分で使う」、日本の高校生は低調 学校の紙重視が影響?. (2025, July 3). 日本経済新聞. https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD290ZT0Z20C25A6000000/

趙 章恩. (2024, May 31). 韓国が2025年にAI教科書を導入、大手企業はEdtechビジネスの拡大とインド進出. 日経クロステック(xTECH). https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00109/

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