ニュージーランドの光と陰。衰退していく街についての考察。

ニュージーランドは長年に亘る移民の流入で人口が512万にまで増え、オークランドのような大都市は建設ラッシュとなり高層ビルが目立つようになっている。しかしその反面、田舎の街では人口流出を止めらえず、ゴーストタウン化していくエリアも多い。

特にかつてゴールドラッシュで栄えた南島の西側エリアにそういった街が多く、今回はある街を例に衰退の経緯と今後について考察してみたい。

と書くと、なんだか仰々しいが、以下はコロナの間に英語学校に通った際、Writingの授業でリサーチをして書いた英文を日本語にしたもの。読み返すとリサーチの浅さや、まとめ方に甘さがあるのだが、ニュージーランドの歴史として、こういう街もあるのか、と参考までに読んでいただければ幸いです。

 

Greymouth – a town that used to be thriving but is now in decline.

町のはじまり
1860年、ニュージーランド政府がマオリ族からグレイマスを含む西海岸の土地を購入。1864年に西海岸で金が発見されると、鉱夫たちは各鉱山地帯に集まり多くのベースキャンプを作ったが、グレイマスはそのキャンプ地の一つである。グレイ川の入り口に位置し、鉱石を輸出するのに適した港があったこの町には金が集まり、そして活発な経済活動によって繁栄したのである。

主な産業
最初の主要産業は金の採掘であった。1864年に始まり約15年間続いた。また、1870年代には石炭も発見された。金鉱ブームが去った後は、石炭と木材産業(リム)がグレイマスの主要産業となった。この2つの産業がグレイマスの発展を後押し、1881年にはグレイマスの人口はホキティカを上回り、以来、西海岸で最大の都市となった。

テクノロジーがこれらの産業を衰退させた
石炭はニュージーランドの成長に欠かせないものとなった。1870年代、石炭は蒸気船だけでなく、列車の動力源としても必要とされていたためだ。
1900年代には年間100万トン以上の石炭を生産し、ニュージーランドの主要なエネルギー源となり、グレイマウスの繁栄は永久的なものかと思われた。
しかし、1970年代には輸送手段がディーゼルやガソリンに変わり、さらに気候変動対策として二酸化炭素の排出削減が不可欠となり、当然ながら石炭そのものが不要になった。

街の衰退
石炭や木材の需要が減少し、廃業する企業は後を絶たなかった。エネルギーの転換により、グレイマスの繁栄は終わり、それ以来、グレイマスは長い不況の中にある。2010年のパイク川の災害で、炭鉱は完全に崩壊してしまった。
多くの若い世代が職を求めて町を離れ、この街の経済成長も止まってしまった。

街が今直面している問題
グレイマスは、医師、看護師、会計士、弁護士などの専門職も不足している。
さらに、2010年にクライストチャーチで起きた地震により、地震対策に新たな規制が導入されたが、経済の低迷によりビルのオーナーはテナント探しに苦労しており、そのためビルの耐震補強もままならない。
グレイマスは、主要産業を観光業に転換することに力を入れている。しかし、この町には特別な観光資源はない。Tranz Alpineの終点であるにもかかわらず、観光客はGreymouthには滞在せず、Hokitikaに向かう。
グレイマスは、主要産業を失い、人口流出も止まらず、新たな再生策も見出せないままである。

提案
ニュージーランドが国境を再開し、海外からの渡航者を受け入れることになっても、しばらくは観光客による経済活性化が期待できない。国内観光が盛んになったとしても、これまで以上の需要は見込みにくいと考える。この街をもう一度盛り上げるには、別の産業が必要となる。鍵となるのは、これまでニュージーランド企業が参入していないこと、そして持続可能であることだ。北半球のグレイマスと気候や緯度が似ている地域の成功事例を研究してみることを提案したい。
例えば、農業では、ニュージーランドでは生産されていない野菜や果物があるかもしれない。また、海藻やうなぎなど、ニュージーランド企業が扱ったことのない養殖が、思わぬ利益をもたらすかもしれない。他の町の成功例の中に答えがあるかもしれない。一番大切なことは、生産から加工までグレイマウスで行える新しい産業を作ること。そうすれば雇用も増え、経済の活性化も期待できるのではないだろうか。

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2022.11.12