90校以上の学校長と会って分かった「運営力」と「人徳」

私たちARCでは、ご紹介する学校はすべて、代表である私が必ず自分の足で訪問することにしています。留学課のダイレクターの方と直接お会いし、キャンパスの隅々まで見学し、そこに通う生徒さんたちの様子をこの目で確かめる。そうして「この学校なら、日本の皆さんにも自信を持ってお勧めできる」と確信できた学校だけを、ウェブサイトでご紹介しています。そうした地道な訪問は、ニュージーランド全土に及び、気づけばその数は90校を超えました。

学校訪問では、留学担当者だけでなく、そのトップである校長先生ともお話をする機会が多くあります。何度も訪問している学校だとすっかり顔なじみになり、「やあ、元気かい?」と気軽に声をかけてくれる校長先生も少なくありません。中には、お酒を酌み交わした校長先生、一緒に日本の営業に行った校長先生もいます。

おそらく、現地エージェントの中でも、私が一番多くのニュージーランドの高校の校長先生に会っているのではないかと自負しています。

学校の責任者でありながら、あまり語られることのない校長先生について、今回は書いてみます。

 

ニュージーランドの高校では、校長先生はどうやって選ばれる?

ニュージーランドの公立学校の校長は、公募制で選ばれます。
学校に欠員が出ると、そのポジションは一般に告知されます。教育専門誌だけでなく、時には一般の新聞広告として大々的に掲載されることもあり、全国から(時には海外からも!)応募者が集まります。
そして、保護者や地域住民、教職員の代表者で構成される「Board of Trustees(学校理事会)」が、候補者の経歴や教育理念、マネジメント能力を厳しく審査し、最もふさわしい人物を校長として採用するのです。

当然ながらポストに空きが出ないと応募できないため、キャリアアップを目指す有能な人材は、チャンスを求めて家族で地方の学校へ移り住むことも珍しくありません。実際に、地方都市で出会った校長先生が、つい数か月前までオークランドの私の近所に住んでいたということを知って驚いたことが、今年だけでも2回ありました。

 

校長は学校のビジョンを率いる「経営者」

求められるのは、まさに「結果」。例えば、生徒全体の学力を向上させること、学校の魅力を高めて生徒募集数を増やすことなど、目に見える形で学校をより良くしていく手腕です。教育者であると同時に、学校という組織を成長させる「経営者」としての資質が強く問われます。

その仕事は、教育方針の策定から予算管理、地域連携まで広範囲に及びます。
以前、ある学校を訪問したときには、校長先生がわざわざキャンパス案内をしてくださったのですが、それが終わった途端、建築中の新しい校舎に移動し、ヘルメットを被って建築業者と打ち合わせをしていました。そんなことまで校長の仕事なのか!と驚いたのを覚えています。

留学生に関わる重要な判断も、最終的には校長が下します。 例えば、「今年はどの国から何人まで留学生を受け入れるか」「どういうタイプの学生を募集するか」という受け入れ方針の決定、「留学生を募集するために、どのくらいの予算を組むか」というマーケティング戦略、そして「誰を留学生担当の責任者にするか」といった人事権まで。すべては校長のリーダーシップに委ねられているのです。
このように、校長は教育者であると同時に、学校という組織をダイナミックに成長させる「経営者」としての資質が強く問われます。

もちろん、校長が一人で全てを抱え込むわけではありません。ニュージーランドの高校には、Deputy Principal(副校長)が複数名いるのが一般的です。それぞれが「カリキュラム担当」「生徒指導担当」「国際交流担当」など、専門分野を持って校長の業務を分担・補佐しています。日本の学校で教頭先生が一人で膨大な業務をこなしているイメージとは大きく異なり、専門性に基づいた「チーム」で学校運営を行っているのが特徴です。

 

校長先生たちは、人徳者。

そんな多忙な校長先生たちですが、私がお会いしてきた方々は、単なる敏腕な管理者というだけでなく、人間的な魅力にあふれた「人徳者」であることが本当に多いです。

忘れられない出来事があります。ある生徒さんが無事に留学を終えて日本に帰ったあと、保護者の方からかなり理不尽に思える強いクレームが寄せられました。

その生徒さんが滞在中に、学校側が本当に親身になってサポートしてくれていたことは、私が一番よく分かっていましたので、すぐに詳しく事実関係を調べて、時系列でまとめた報告書を作成し、誠実に説明しました。

しかし、いくらロジックを積み重ねても、きちんと説明しても、保護者の方のわだかまりは残ったままで、納得してもらえない状態が続きました。板挟みになった私は苦しい気持ちのまま校長先生に相談すると、先生は私の話をさえぎることなく、最後までじっくり聞いてくれました。話を全部聞き終えたあとで、「そうか、それは大変だったな。大丈夫、あとは任せて」と言って、自分でペンを取ってくださいました。

そのとき先生が書いたのは、ただの謝罪でも反論でもない手紙でした。学校として行ったサポートはきちんと伝えつつ、生徒さんの留学経験自体を大切に思う気持ちや、これからの成長を願う温かさにあふれた内容でした。

その手紙を届けた途端、あれほど固かった保護者の方の気持ちがすっと和らぎ、最後には「校長先生にそう言ってもらえて気持ちが落ち着きました」とおっしゃってくださり、円満に解決することができました。

事実を伝えるだけでなく、人の心まで動かせる。そんな校長先生の深い判断力と大きな懐に、私自身とても救われましたし、リーダーのあるべき姿を学べました。

 

他に私がいつも感心させられるのが、校長先生たちの驚くべき記憶力と、一人ひとりへの深い愛情です。
生徒数が800人、時には1000人を超えるような学校で、校長先生が廊下を歩きながら、すれ違う生徒に「やあ、マイケル!昨日のラグビーの試合、見事なトライだったな!」「君の昨日のダンスの発表には感動したよ」と声をかけ、生徒一人ひとりの活躍を本当によく見ていて、その名前と成果をしっかりと結びつけて覚えていることです。生徒だけでなくて先生たちにもその目は向けられています。「〇〇先生、新しいプロジェクト大丈夫?」「何か困ってない?」とすれ違う先生1人1人にさらると声をかけています。

こういう 「ちゃんと見てるよ」 という姿勢が、学校全体に安心感を生んでるのでしょう。

 

別の学校の校長先生は、週末のうちにフルーツやお菓子を自分で仕入れ、月曜の朝には教職員の休憩室に差し入れをしていました。

 

校長と留学課の連携がいい学校は、留学生に向いている。

ニュージーランドの校長先生は、教育への情熱としっかりしたビジョンを持ったリーダーで、まさに学校を未来に導く船長のような存在です。その力強いリーダーシップと温かい人柄が、学校全体の雰囲気を作り、生徒たちが安心して学べる環境を支えていると言えます。

留学先の学校を選ぶ際には、実は「どんな校長先生が学校を率いているか」も、その学校のカラーを知る上ですごく大事なポイントだと思います。

特に、校長先生が留学課の役割を理解し、しっかりサポートしてくれる学校は、留学生の満足度も高いと、私自身の経験から感じています。

これからも、そんな素敵な校長先生に率いられているニュージーランドの学校の魅力を、もっとたくさんの方に伝えていきたいです。

 

 

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