この数年、「リテラシー(Literacy)」という言葉をよく耳にするようになりました。これは単に読み書きに限らず、ある分野における「理解力や活用能力」を指すもので、さまざまな場面で使われています。その中でも、留学生にとって最も身近なのが「Literacy Credit(リテラシー・クレジット)」ではないでしょうか。
NCEAのLiteracy, Numeracy クレジット
ニュージーランドの小学校では、日本のような一斉の入学式はなく、5歳に達した子どもから順次入学していく「ローリング・エントリー(rolling entry)」制度が採用されています。そのため、1つのクラスに年齢や学習経験の異なる児童が混在することがよくあります。英語(国語)の授業でも、グループごとに異なる内容を学ぶため、一人ひとりの習熟度に応じた指導が行われている一方で、学力の進度や達成度に差が生じやすい傾向があります。
このような状況を受けて、ニュージーランド政府は高校生の基礎学力のばらつきを是正すべく、2024年から「Literacy Credit(読み書き能力)」に加えて、「Numeracy Credit(計算能力)」の取得をNCEAの必須条件としました。試験は年2回(ターム2と3)に実施され、合格するまで受け続けなければならないため、NZQAのサイトに掲載されている過去問などを活用し、しっかりと準備する必要があります。
※ちなみに、ARCでは留学生を対象に、毎年オンラインでNCEA対策のオリエンテーションを実施しています。
新しい取り組み:Financial Literacy
さらに、政府の新たな取り組みとして、2026年からは「Financial Literacy(金融リテラシー)」の授業がスタートします。対象はYear 1(日本の小学校1年生相当)からで、社会科の一環として教えられる予定です。教育大臣は「複雑な金融社会において若者がより良い判断を下せるよう、基本的なスキルをカリキュラムに組み込むことは、自身の人生だけでなく社会全体にも良い影響をもたらします」と述べています。
以下は今回発表された金融教育の主な学習内容です:
【年少の生徒向け(Year 1〜10前半)】
- 「欲しいもの」と「必要なもの」の違いの理解
- 銀行口座の開設と活用方法
- お金を稼ぐということの意味
- 支出の管理
- 貯蓄の重要性と方法
【年長の生徒向け(Year 10後半〜13)】
予算管理(バジェッティング)の方法
- 投資の基礎知識
- 利子(インタレスト)の仕組み
- 税金についての理解
- 保険の種類と役割
- 金融詐欺の見分け方
- 銀行ローンやサービスの比較・選択
- 賢い消費者としての行動指針
実生活に直結するこうした内容を、小学校から学べるのは大きな魅力です。このニュースを見たとき、私自身も「こんな授業を小学校や中学校で受けたかった!」と心から思いました。学校で人生に欠かせないお金の知識を学べる機会があるというのは、本当に素晴らしいことです。
留学で必要なリテラシーは?
いろんな単語の次にリテラシーをくっつけると、それは最低でも知っておかなくていけないことなんだな、と感じますよね。
ニュージーランドにやってくるのに、身に付けておきたいのは、以下の2つではないかと思います。
文化リテラシー(Cultural Literacy)
異文化を理解し、尊重する姿勢。
例:現地のマナーや価値観の違いに対応する力、柔軟な思考。
デジタルリテラシー(Digital Literacy)
情報を正しく収集・整理・活用する能力。
異国での生活は、異文化との出会いの場です。理解、尊重する姿勢が留学生活を更に充実したものにしてくれます。
そして、デジタルを正しく、そして有効に活用することで、学習機会の幅が広がり、脳はますます知識を吸収していきます。
これから留学を計画している方は、ARCまでお気軽にお問合せ下さい。